【NICU入院中のこと1】NICUで重症低血糖が発覚
ぐるこです、こんにちは。
しばらくは「NICU入院中のこと」というテーマで書いていきます。
今日は、低血糖とはどんな状態でどんな症状がでるのかについても知って頂けたらなと思います。
【もし帝王切開じゃなかったら…担当医の言葉】
帝王切開で産みました
陣痛促進剤を3日間続けましたが波がこなかったため、帝王切開で産むことになりました。
帝王切開のため赤ちゃんはNICUに一泊は入院するルールになっていました。
出生後NICUの血液検査により重度の低血糖が発覚し、すぐさまブドウ糖の点滴に繋がれた娘。
生まれた時の血糖値は15㎎/㎗でした。
4000オーバーの巨大児で産まれました。
先天性高インスリン血症で産まれた赤ちゃんで、大きく生まれた子は持続性(治りにくい方)、小さく生まれた子は一過性の場合が多いと聞きました。
「〇〇ちゃんには保育器がせまいねえ」とNの看護師さんみんなが笑っていました。
NICUなので、小さく生まれた赤ちゃんが多くすこし居心地が悪かったことを覚えています。
生まれる前から名前を決めていたので、看護師さんたちも初めから名前で呼んでくれたことはとてもうれしかったです。
低血糖について知っていますか?
みなさんは血糖値についてどんなイメージを持っていますか?
当時私が持っていたイメージは、
- 血糖値が高すぎると糖尿病になる
- ご飯を食べると血糖値が上がりその後通常値に下がる
- 低血糖になるとふらふらするので飴のようなものを食べればOK
ざっとあげるとこのようなイメージです。
低血糖を正しくお伝えしたいので、
糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)のウェブサイトより引用させてもらいます。
「低血糖状態」とは
一般に、血糖値が70mg/dL以下になると、人のからだは血糖値をあげようとします。また、血糖値が50mg/dL未満になると、脳などの中枢神経がエネルギー(糖)不足の状態になります。その時にでる特有の症状を、低血糖症状といいます。人によっては、血糖値が70mg/dL以下でなくても治療などによって血糖値が急激に大きく下がることでも、低血糖症状がでることがあります。逆に、血糖が70mg/dLより低くなっても、症状が出ない方もいますので注意が必要です。
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター糖尿病情報センター「低血糖 | 糖尿病情報センター」より引用
「低血糖症状」とは
低血糖の時には、その値に応じて、からだに様々な低血糖症状があらわれます(図1:低血糖の症状)。
図1:低血糖の症状
血糖値がおよそ70mg/dL以下になると、「交感神経症状」があらわれます。
さらに血糖値が下がり50mg/dL程度になると、「中枢神経症状」があらわれます。
ただし、普段から低血糖がよく起こる方や、低血糖症状の自覚が少ない方は、「汗をかく」などの交換神経症状がでないまま、無自覚性低血糖になることがあります。
無自覚性低血糖とは、自覚症状が無いまま、以下の状況になることをいいます。
- 血糖値を測ったら60mg/dL程度まで低下していることに気づく
- 血糖値が50mg/dLより低く、突然さらに重い中枢神経症状が出る
そして血糖値が50mg/dLよりも低くなると、昏睡(こんすい)など意識のない危険な状態(重症低血糖)になってしまうことがあります。
これはたいへん深刻な状態で、命に危険が及ぶことがあります。低血糖になった時は、できるだけ早い段階ですみやかに対応をしなければなりません。
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター糖尿病情報センター「低血糖 | 糖尿病情報センター」より引用
ちなみに先天性高インスリン血症の娘は、この「一般的に血糖値が70㎎/㎗以下になると人のからだは血糖値をあげようする」という健康な人の当たり前を、生まれつき持ち合わせていません。
簡単にいうと、生まれつきのインスリン過剰分泌のためにほうっておけば血糖値がどこまでも下がり続けます。
食事や捕食で血糖値を上げる「血糖コントロール」を24時間体制で行わなければなりません。いまのところ、血糖コントロールのサイクルは娘の場合3時間おきです。
娘の担当小児科医の言葉でわかったこと
最初の面談で娘の担当医に言われた言葉は
「帝王切開だったから、NICUに入院する決まりがあって血液検査しました。
早く低血糖に気付けて本当にこの子はラッキーだったね…!」
でした。しきりにNICUに来れてよかったと繰り返す担当医。
私は「重症な低血糖症」について何もわかっていませんでした。
そのとき考えていたのは、こんなことです。
「え?低血糖って脳に糖分が足りなくてふらふらして飴舐めるやつ?
重度の低血糖ってなに?
早く気付かないと大変なことになってたってどういうこと?
おっぱい、ミルク飲めば大丈夫なんじゃないの?」
帝王切開の傷も酷く痛み初日はまだ起き上がれないのでベッドの上から動けず、赤ちゃんが置かれている状況をよく理解できないままとにかく自分を回復させることに専念するしかありません。
先ほどの言葉は、先生にとっては何気ない一言だったのでしょうが、私は何度も何度もこの言葉を思い出しては、娘の低血糖を見つけてもらえたことに感謝すると同時に、もし見つかるのが遅かったら…ととても怖い気持ちにもなります。
赤ちゃんの退院の見通しとしては、血糖値が正常な範囲に上がり落ち着けばブドウ糖の点滴から離脱して退院できるでしょう、とのことでした。
産まれてすぐは、
と簡単に説明されていたので、私も「赤ちゃんを産んだのにそばにいられないなんてさみしいなあ。私ほんとに赤ちゃん産んだのかな…?」などと考えながら、2日目以降は搾乳室でおなかの傷と搾乳の痛みと戦いながら搾乳の練習をしていました。
【気が付かれない場合の赤ちゃんの重症低血糖もある】
娘がNICUに入院している1か月の間に、先生から聞いた話をまとめてみます。
それは、
- 重度の低血糖状態だからといってけいれんなどの見た目でわかる症状が出ていない赤ちゃんもいる
- 低血糖症状ががわからず、血糖値測定してみて初めて発覚することがある
- 経膣分娩で産まれた問題のない新生児の赤ちゃんには血液検査をしないこと
- 実際に経膣分娩で産まれ、新生児ルームで寝かせている間に低血糖症状が進んでしまい脳へのダメージにより、障害が残ってしまったケース
- 個人の産院で出産後、低血糖症状が進行してしまい、総合病院に救急搬送するも間に合わなかったケース(総合病院に着くころには皮膚の色が真っ黒になってしまっていたそうです…)
この先生は「これからは問題なく生まれてNICUに入らない赤ちゃんも、産科の方で血糖値を測ったほうがいいと思う」とおっしゃっていました。
「低血糖」と聞くと「飴をなめればすぐ治るもの」だと思っている方もいるかもしれませんが、適切な処置をしなければ脳への障害が残ったり、最悪の場合は命にもかかわるこわい症状であることがお分かりいただけると思います。